秋田の夏
秋田の冬は寒くて大変です。
雪かきをしないと外に出られませんし、車も出せません。
だから雪がめったに降ることのない関東に行ったとき、なんて冬が楽なんだろう!と思いました。
しかし夏に関しては、秋田にいるほうがずっといいなあと、心の底から思います。
暑いことは暑いですが、ビル熱なんてありませんし、人口密度も高くないから自然以外の暑さに苦しむことがないのです。
それに海と花火、夏祭りがなんと言っても楽しみですね。
わたしは海岸沿いで育ちましたので、生活のすぐそばに海がありました。
中学校などはもう本当にすぐ近くが海でしたので、自転車に乗ってやってきた男の子が「キャッホー!」などと叫びながら海に飛び込んでいく光景も当たり前でした。
当然男の子のたどってきた道には、乗り捨てた自転車やバッグ、制服などが点々と落ちているわけです。
海は何もかもを暖かく受けいれてくれる存在なので、近くにあるとそれだけで精神安定になるような気がします。
群馬と埼玉に住んでいたときも、「あぁ、海が見たいなあ」とよく思っていました。
花火と夏祭りは、もちろん夏になればどこでもやっています。
しかし群馬・神奈川・埼玉・東京と経験してみて、その中身はやはり秋田が素晴らしいと思うのです。
秋田を出るまでは何気なく経験してきた夏祭りと花火ですが、関東にきてみて初めてその素晴らしさに気づきました。
どっちも経験したことのない人にしか分からないかもしれないことですが……。
関東の花火、小さいですよね。
わたしは20代のとき、当時つきあっていた方と一緒に神宮の花火を見に行ったのですが、あまりの花火の小ささに「ええっ! これが花火!? しょぼっ!!」とつぶやいてしまったことを覚えています。
考えてみれば当たり前のことですが、花火は爆発物で思い切り危険物なのですから、そんな人のたくさんいるところでなんか、ドカスカ打ち上げられないのです。
秋田はたくさん、大きな花火を打ち上げられます。
関東に比べたら、あんまり人がいませんから。
とくに日本でも指折りの花火大会の聖地、大曲の花火は、夜空に輝く色彩と、音楽のコンビネーションが毎年素晴らしいです。
しかし、大曲の花火は全国的に有名な分、全国から観光客が集まって、非常に混雑して大変です。
秋田の花火のすごいところは、大曲でなくても、たとえ小さな市町村の花火大会に行っても、本当に大きな花火が何発も打ちあがるような、見ごたえのある花火を見ることができるところです。
秋田では、どこの花火大会に行っても、絶対に後悔することはありません。
これは断言できます。
それに、秋田の夏祭りも、関東とはかなり様相が異なり、オススメです。
まず関東みたいにバカみたいに人で混雑してません。
可愛く着飾った浴衣を着て、食べたいものをそんなに並ばずに買えて、激しい場所取り合戦をしなくても、ゆっくり花火を見ることができます。(大曲以外では)
花火は大きくて立派なのが何発も上がりますから、小さな花火を見るための空間を必死になって探さなくてもよいのです。
わたしは関東の夏祭りに行ったとき、あまりの人込みにびっくりしてしまいました。
花火を見るために場所取りは必須だし、人が多いから浴衣が着崩れそうで気になるし、おまけに人が多すぎて電車に乗るのも大変でした。
花火大会やイベントが終わった後、帰りの電車に乗るための人が多すぎて、ホームに入れないなんて、関東だとざらですよね。
秋田だとそんなことはありませんよ!
可愛い浴衣を着た女の子と、夜店と、夜空いっぱいに広がる花火。
そういったものが本当にあります。
まるで出来過ぎたゲームの世界のようですが、これが秋田の夏のチュートリアルです。
だから冬だと、他県からきた友達どこに案内しようかな?と悩むんですが(交通も滞りがちになるため、移動の不安もある)、夏は本当に「来てよ! 楽しいよ!」と言うことができます。
秋田に来たことのない友達に、「夏の秋田はいいよぉ~。関東に比べたら涼しいし、人の少ないきれいな海でたくさん遊べるし。関東とか広島のカキって冬ガキだから小さいけど、秋田の夏に食べる岩ガキは大きくて生食もできるから最高だよぉ。人がいないから花火も立派なのがたくさんあがるし。」とか言うと、たいてい気持ちがぐらぐら揺れてきます。
もう少し秋田の夏を推していくことができれば、観光客も増えそうな気がします。